
富士通が新卒一括採用を廃止を発表。日本の新卒採用が変わる!? 新卒採用と通年採用のメリット・デメリットについて。
■はじめに
2025年3月、富士通が新卒一括採用を廃止し、通年採用への移行を発表したニュースは、採用市場に大きな衝撃を与えました。これまでの一括採用は、日本特有の企業文化として長らく続いてきましたが、時代の変化に伴い、新たな採用方法が注目されています。このブログでは、富士通の発表をもとに、新卒採用と通年採用それぞれのメリット・デメリットについて整理してみます。
■富士通の決断が示す採用活動の変化
富士通はこれまで、毎年春に一括して新卒を採用し、入社後に研修を通じて社員を育成してきました。この方法は、長期的な視点で人材を育てる日本型雇用の象徴ともいえるものでした。しかし、近年ではこの一括採用の仕組みが「制度疲労」を起こしているのでは!? という意見があったのも事実です。
富士通が新卒一括採用を廃止することに決定した背景には、以下のような理由が言われています。
理由01)即戦力の確保
グローバル競争が激化する中で、入社後に育成するのではなく、即戦力となる人材を確保する必要性が高まっているため。
理由02)柔軟な採用の必要性
一括採用では、適切なタイミングで必要な人材を確保することが難しく、通年採用の方が効率的と判断されたため。
理由03)ジョブ型雇用の推進
職務内容に応じた採用と処遇を行う「ジョブ型雇用」を定着させるため、一括採用の廃止が不可欠となったため。
富士通は今後、以下のような採用方針を展開していく予定です。
新しい採用方針01)通年採用の導入
新卒・中途を問わず、必要なときに必要な職務や専門性に応じた採用を随時実施。総合職や一般職といった採用区分も撤廃するそうです。
新しい採用方針02)初任給の多様化
一律の初任給を廃止し、職務内容やスキルに応じた給与体系を導入するそうです。高度な専門性を持つ人材には、初年度から高い報酬が支払われる可能性もあります。報道によると、富士通の多くの新卒入社者は年収550万円から700万円程度となる見込みで、業務内容によっては1000万円を超えることも可能だそうです。
新しい採用方針03)有償の長期インターンシップ
単なる職場体験で終わらず、有償の長期インターンシップを充実させるそうです。
この動きは他の大企業や中小企業にとっても、採用の在り方を見直すきっかけとなるかもしれません。
■新卒一括採用のメリットとデメリットについて
日本の特徴である新卒一括採用のメリットとデメリットについて、一般的に言われていることを簡単にまとめてみました。
◎新卒一括採用のメリットについて
メリット01)計画的な人材確保
年度の採用計画が立てやすく、組織内の調整が容易。
メリット02)同期としての絆形成
同時入社によるチームビルディングや企業文化の浸透がスムーズ。
メリット03)一括研修の実施
一斉に教育を進められるため効率的。
◎新卒一括採用のデメリットについて
デメリット01)タイミングの制約
年度内で優秀な人材確保の機会を逃す場合があります。
デメリット02)内定辞退のリスク
一度の大量採用は辞退リスクを高める可能性が。
デメリット03)採用ミスマッチ
求職者との相性を見極めにくい場合がある。
◎通年採用のメリットについて
必要なタイミングで必要な人材を採用可能 通年採用の最大の利点は、採用の機会を年間に分散させることで、急な人材不足や内定辞退のリスクにも柔軟に対応できることです。企業は必要に応じて即戦力となる人材を確保することができ、安定した人事戦略を築くことが可能です。
メリット01)多様な人材との出会い
通年採用では新卒だけでなく、キャリアチェンジを目指す中途採用者や既卒者とも出会う機会が広がります。特に、経験豊富な即戦力人材や、特殊なスキルを持つ応募者を採用できる点は大きな魅力です。
メリット02)採用プロセスの質の向上
一括採用のように期間内で急いで選考を行う必要がないため、応募者のスキルや適性を慎重に見極める時間を確保できます。その結果、ミスマッチの発生を抑え、長期的な人材定着につながります。
メリット03)企業ブランディングの強化
通年採用を実施することで、「常に人材を歓迎する」という姿勢が企業文化としてアピールされ、多くの求職者に魅力的な企業イメージを与える可能性があります。
◎通年採用のデメリットについて
デメリット01)採用業務の負担増加
通年採用では、年間を通じて選考活動を続ける必要があるため、人事部門への負担が大きくなりがちです。特に、スケジュール調整や面接などの業務が頻発するため、リソースの確保が課題となります。
デメリット02)社員研修の効率化が課題に
入社時期が分散することで、新入社員を対象とした一斉研修を実施するのが難しくなります。その結果、個別対応が求められるため、研修体制の再構築が必要になる場合があります。
デメリット03)社員間の連携の弱体化
同時期に入社する社員が少なくなることで、同期の絆が形成されにくくなる可能性があります。このことは、企業内でのコミュニケーションやチームワークに影響を及ぼす懸念があります。
デメリット04)採用コストの増加
長期間にわたる採用活動や個別研修の実施は、従来の一括採用に比べてコストが高くなる場合があります。特に、採用媒体や人事システムへの投資が増加する可能性があります。
このように、通年採用には柔軟性や多様性といったメリットがある一方で、運用面での課題も多いことが分かります。企業がこれらのメリットを最大限活かしつつ、デメリットを克服するためには、採用プロセスの効率化や社員教育の改善がポイントとなるでしょう。場合によっては、ザメディアジョンHRのような外部の専門会社のサービスを利用することも一つの選択肢です。
■おわりに
富士通の新卒一括採用廃止という大きな決断は、日本全体の採用市場に影響を与える可能性があります。中小企業にとっても、柔軟な採用方法の導入や独自の取り組みが求められる時代に突入したと言えるでしょう。それぞれの採用手法のメリット・デメリットを理解し、自社に最適な採用戦略を選ぶことが、これからの人材獲得成功のポイントとなります。この機会に、自社の人財採用・育成について、深く考えてみることが大切だと思われます。