インターンシップが採用戦線の主戦場に!23卒者の実態からみるインターンシップの重要性
近年、インターンシップを行う企業が増えています。インターンシップとは、簡単にいうと、学生が企業で就業体験を行う活動のこと。新卒採用で人材を獲得することが難しい状況の中では、インターンシップに参加して働くイメージを持ってもらい、人材の獲得につなげたい企業も多いと思います。その一方でインターンシップのメリットがいまいちわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
今回、インターンシップとはどのようなものなのかを改めて整理し、2023卒者の実態(学生の参加率の高さや、参加前後の志望度合い変化など)から、いかにインターンシップが重要になってきているかをお話したいと思います。
そもそもインターンシップとは!? 具体的な内容は3つ。
インターンシップの定義とは「学生がその仕事に就く能力が自分に備わっているかどうかを見極めることを目的に就業体験を行う」ことです。これが、いわゆる経団連と各大学で構成されている産学協議会が決めた定義で、その内容は下記の3つになります。
①「就業体験を必ず含む」 参加した学生が、説明など話を聞いて終わりということのないように、何か業務を体験するような内容が必須です。 ②「年次は問わない」 いまは早期採用の流れと一緒になる背景から、大学3年生向けのインターンシップが一般的ですが、そもそもの定義でいくと年次は問わないということになっています。 ③「採用活動とは別個であるため、採用・選考に関する情報発信はしない」 インターンシップと採用活動は別のものなので、インターンシップの場で学生へ採用や選考に関する情報は伝えません。 |
インターンシップに参加する学生は増加傾向。2023卒では約9割に。
ではどれくらいの企業がインターンシップを行い、どれくらいの学生が参加しているのでしょうか。
キャリタスリサーチの調査結果によると、学生の参加率も企業の実施率も増加傾向をたどっています。2023年卒では学生の参加率は90.6%という結果でした。10年前と比較すると、44.2%→90.6%と倍以上になっています。企業の実施率は23.3%→68.8%と約3倍に。コロナ禍により実施率はここ2年少し下がっていますが、学生の参加率は大きく下がることはありませんでした。
インターンシップは夏と冬に集中する。参加後に志望度を高める学生の割合も増加。
では、学生はどの時期に参加しているのでしょうか。
参加時期の分布をみると、学生が夏休みとなる8月~9月が一番多くなっています。そして採用活動解禁前となるタイミングの12月・1月・2月、この3か月間に増えています。解禁直前の2月に限っては3年間で減少傾向にはあるものの、夏に続き多い数値です。つまり、インターンシップは夏と冬に集中するということですね。
また、学生がインターンシップに参加する前と参加したあとでは、「この企業に就職したい」という割合が25.4%から46.1%と約20ポイント増え、志望度合いを高める学生も少なくないことがわかります。
以下は、どのような流れで進んでいるのかという現状のスケージュールです。
さきほど、インターンシップ参加は夏と冬に集中するといいましたが、動きとしては6月スタートと10月スタートというのが、一つの大きな区切りになっていきます。
■6月スタート「サマーインターンシップ」 6月~9月の4か月間。学生が夏休みのタイミングなので、7・8月は学生の参加時期としては一番のピーク。
■10月スタート「オータム&ウィンターインターンシップ」 10月~3月までの5か月間。頭文字をとって「awインターンシップ」というふうに記載されることもある。解禁前のタイミングで、夏に続き学生の参加が多い時期になる。
2025年新卒者からインターンシップのカタチが変わる⁉ インターンシップ情報を採用活動に活用することが認められることに。
現状のインターンシップは採用活動とは個別という定義ですが、2025年卒の採用活動からインターンシップを採用に活用してよいということが発表されました。これにより、2025卒からはさらなる早期採用の動きとなることが予想されます。
産学協議会はインターンシップ(キャリア形成)を以下の4つに分類しています。
①オープン・カンパニー | 大学入試に向けて開くオープン・キャンパスの企業版のようなもので、学生が「企業・業界・仕事を具体的に知る」のが目的 |
②キャリア教育 | 主に大学1~2年生向けで、学生が「自らのキャリア(職業観・就業観)を考える」のが目的 |
③汎用的能力・専門活用型インターンシップ | 主に大学3~4年生と大学院生向けで、学生が「その仕事に就く能力が自らに備わっているか見極める」のが目的。大学と企業の目的は「マッチング精度向上」と「採用選考を視野に入れた評価材料の取得」 |
④高度専門型インターンシップ | 大学院生が「自らの専門性を実践で活かし、向上させる(実践研究力の向上等)」目的 |
現状の一般的なインターンシップの形は③にあたります。企業の採用活動に直結してくるのは③④ですが、この2つについては、③5日間以上、④2週間以上という期間の定義も発表されています。この日程を行うものには「産学協議会基準準拠マーク」を記載できるとしているので、経団連加盟の大手企業を中心に「5日間以上」のインターンが増える見込み。ただ、「5日間以上」は企業にとっても大変なので、手軽なワンデーイベントもなくならないでしょう。
今後ますますインターンシップは採用活動において重要度の高いものとなりそうです。いまや学生の9割が参加するインターンシップ。自社の魅力をしっかり理解してもらえるインターンシップを実施して、よりよい採用活動につなげたいですね。
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