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エントリー数減少の波をどう乗りこなす?調査結果から読み解く採用のリアルと27卒の戦略

採用市場の厳しさは年々増しており、特に母集団形成においては厳しい状況が続いています。
株式会社キャリタスが実施した「2026 年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査(2025年7月調査)」によると、母集団形成の状況について25卒採用と比較した結果、エントリー数・選考応募数の「減少傾向」が鮮明になりました。
今回は、この企業調査から採用市場の現状と学生のリアルな反応をまとめます。この調査結果を戦略立案のヒントとして活用し、次の採用を成功させるための対策を練りましょう。

まず、採用活動のスタート地点であるエントリー数と選考への応募者数の状況を確認しましょう。
このトレンドは27卒採用にも引き継がれる可能性が高いです。

調査結果によると、採用活動で「エントリー数」が前年より減ったと回答した企業は全体の45.8%に上り、「増えた」企業(31.2%)を大きく上回る結果となりました。

特に、従業員300人未満の中小企業では、「減った」(47.8%)と「増えた」(27.3%)の差が大きく、母集団形成の厳しさが色濃く出ています

一方で、従業員1000人以上の大手企業では「増えた」が39.2%と約4割に達しており、前年より改善した企業も少なくありません。企業規模による「二極化」の傾向は、27卒でも続くとみて対策が必要です。

資料: 「2026 年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査(2025年7月調査)」(株式会社キャリタス)

エントリー数と同様に、選考への応募者数も減少傾向が見られます。「減った」企業が47.4%に対し、「増えた」企業は28.2%に留まりました。

この結果から、エントリー数を減らした企業は、そのまま選考への応募学生も減らしているケースが多いことが推測されます。母集団の入り口(エントリー)での苦戦が、その後の選考にもダイレクトに影響していると言えるでしょう。

資料: 「2026 年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査(2025年7月調査)」(株式会社キャリタス)

厳しい採用環境のなかでも、業界や選考の段階によって学生の反応には差が見られました。

IT業界
「エントリーが増えた」(40.2%)企業が比較的多く、依然として学生からの関心が高い業界です。「減った」(40.3%)と拮抗しており、人気業界内での企業間競争が激化していると推測されます。

●金融業界
エントリー後の「選考への応募率」や「面接への参加率」において、「上昇した」と回答した企業の割合が他の業界よりも高く出ています。選考に進む意欲が高い学生を集めることに成功しているようです。

資料: 「2026 年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査(2025年7月調査)」(株式会社キャリタス)

エントリーした学生が実際に選考に応募した割合(選考への応募率)は、「低下した」(34.7%)が「上昇した」(19.9%)を上回り、エントリー後の学生の離脱が依然として課題です。この「応募率低下」の波を食い止める施策が急務です。

一方で、面接への参加率は、約7割の企業が「前年と変わらない」と回答し、「上昇した」(16.6%)が「低下した」(13.5%)をわずかに上回っています。面接段階まで進んだ学生の意欲は維持・向上している傾向が見られ、この層を確実にフォローすることが重要です。

資料: 「2026 年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査(2025年7月調査)」(株式会社キャリタス)

この調査結果を踏まえ、27卒採用で注力することを2点あげます。

エントリー数の減少と、選考への応募率の低下という課題を克服するためには、学生の熱量を維持するコミュニケーションが不可欠でしょう。

早期接触と個別化: エントリー直後のお礼だけでなく、学生一人ひとりの関心や疑問に寄り添った個別性の高い情報発信や、少人数の交流機会(カジュアル面談、座談会など)を設計しましょう。

選考フローの魅力向上: エントリーから応募、面接までの接続フェーズで学生が感じる不安やハードルを徹底的に排除し、スムーズで魅力的な選考体験を提供することが、離脱防止につながると考えられます。

採用競争が激化し、学生の情報収集が早期化している現状では、「いかに早く学生と接点を持つか」が極めて重要です。27卒採用では、本選考が始まる前の段階から学生との関係を構築する戦略を徹底しましょう。

インターンシップの「戦略的活用」: 単なる会社紹介で終わらせず、学生の成長につながるような仕事体験型や、企業独自の課題解決に挑む実践型のインターンシップを設計しましょう。これにより、学生は早期に貴社の仕事内容や社風を深く理解し、志望度を高めることができます。

低学年(大学 1〜2年生)へのアプローチ: 大学3年生になってからでは遅すぎます。キャリアイベントへの出展、オープンな企業説明会(学年不問)、SNSを通じた情報発信などを活用し、低学年のうちから「貴社で働くことの魅力」を潜在的に刷り込んでいく長期的なブランディングを行いましょう。

「選考直結」ではない接点の設計: プレエントリー層や早期接触層に対して、選考へのプレッシャーを与えないカジュアルな座談会や社員との交流会を定期的に実施します。これにより、学生は安心感を持って貴社に接触でき、結果的に高い応募率と内定承諾率につながるでしょう。

早期に「ファン」を増やす活動こそが、エントリー数の減少傾向を跳ね返し、質の高い母集団を形成する鍵となるでしょう。

27卒採用も、企業規模や業界を問わず、厳しい競争が予想されます。しかし、この調査結果から得られた課題と改善の兆しを理解し、エントリー後のフォロー体制を強化することで、採用活動を有利に進めることができるはずです。

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