【気になるNEWS】新卒3年未満で退職、「辞めてよかった」8割超。早期離職の決定打は”入社直後のギャップ”だった
新卒採用、特に若手社員の定着は多くの企業にとって頭を悩ませる問題ですよね。
ITmedia ビジネスオンライン(2025年7月23日)の記事で、「新卒3年未満で正社員を退職した若年層の意識調査」という、早期離職の現状と若手社員の本音を探る上で、非常に興味深い調査結果が取り上げられていましたので紹介します。この調査は人材総合サービスを展開するスタッフサービス・ホールディングスが実施。新卒で入社した会社を3年未満で辞めた若者706人を対象にしたものです。
今回はこの記事ついてまとめ、調査結果から採用担当者が考えるべきことについて解説します。
新卒社員が3年以内に辞めてしまう本当の理由とは?
厚生労働省の調査によると2021年3月卒業者の3年以内の離職率は34.9%にも上ります。約3人に1人が3年を待たずに会社を去っているのが現状です。
では、一体なぜ若者たちは早期退職を選ぶのでしょうか?「新卒3年未満で正社員を退職した若年層の意識調査」から見えてきた、彼らが会社を去る主な理由を見ていきましょう。
●人間関係:「上司や同僚との人間関係が悪かった」(26.3%)が最大の理由。
●社風のミスマッチ:「社風が合わなかった」(26.1%)が僅差で続く。
●将来への不安:「会社の将来に不安を感じた」(21.1%)も無視できない理由。

特に注目すべきは、退職までの在籍期間です。なんと48.2%という約半数が1年未満で退職しており、そのうち約3人に1人(30.8%)は半年も経たずに会社を辞めているという衝撃的な事実が明らかになりました。

「辞めたい」と感じる瞬間はいつ?
「辞めようかな」と最初に思った時期については、入社してすぐに感じてしまう人が想像以上に多いことが分かりました。実際に働き始めて職場の雰囲気を知り、ギャップを感じているようです。
●入社1カ月未満で「辞めたい」と思った人が32.9%。
●3カ月未満では、なんと過半数の51.0%がすでに退職を検討している。
●きっかけは、「オフィス内の職場環境や雰囲気を知った時」(23.3%)が最も多く、研修や配属時に会社のリアリティを知ることで、理想と現実のギャップを感じているよう。

寄せられた具体的な声には、「先輩にひどく叱られた」「怒号が飛び交う研修だった」「社訓を大声で叫ばされた」など、会社のカルチャーや人間関係に関するものが目立ちました。

「辞めてよかった」と感じる若者が8割以上
驚くことに、早期退職を経験した若者のうち、「とてもよかったと思っている」が44.2%、「どちらかといえばよかったと思っている」が39.7%となり、合わせて83.9%が「辞めてよかった」と回答しています。これは、彼らが退職という決断をポジティブに捉えていることの表れかもしれません。


彼らが就職活動で重視していたのは、全体で多かったのは「会社の安定性、成長性」や「会社の規模の大きさ」でした。また、入社後すぐに「イメージと違う」と感じる人が全体の6割以上に上ります。特に早期退職者ほど、入社直後のギャップに直面していることが分かります。


新卒採用担当者が考えるべきこと
この調査結果をふまえ、採用担当者や経営者が考えるべきことをまとめました。
1:等身大の姿を伝える
入社後のギャップは、早期離職の大きな原因です。「会社の安定性」や「福利厚生」といった表面的な情報だけでなく、実際の職場の雰囲気や人間関係、仕事の進め方など、ありのままの姿を伝えることが重要です。
2:研修・OJTの再考
入社直後の研修やOJTが、彼らの「辞めたい」という気持ちを加速させている可能性があります。若手社員が安心して仕事に取り組めるよう、ハラスメントのない、心理的安全性の高い環境を整えることが急務です。
3:人間関係の構築支援
最も多い離職理由が「人間関係」であることを踏まえ、上司や先輩とのコミュニケーションを円滑にする仕組みづくりも必要でしょう。
若手社員が「この会社で長く働きたい」と思える環境をどう作っていくか。この調査結果を、自社の採用や育成を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

