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【日本型雇用のリアル②】新卒一括採用は日本のガラパゴス・システムなのか?企業主導型の人事異動も、日本型雇用システムの一環。

こんにちは!ザメディアジョンHRコラム担当の西島です。
今回もリクルートワークスが調査・リリースした資料から、「日本型雇用の実態」を見ていきましょう。引用はすべて、リクルートワークスの「Global Career Survey 2024」からです。前回は各国の就業実態について見てきましたが、今回はその続きとして、日本型雇用との比較を深掘りしていきます。まずは、①新卒一括採用②企業主導の人事異動について取り上げますので、最後までお読みいただければ幸いです。

図表6をご覧ください。初めて就職した時期に関する調査ですが、日本では「大学卒業直後」と答えた人が78.9%と圧倒的多数を占めています。他国の割合は30%前後で、日本に次ぐドイツでも37.9%に過ぎません。このことから、新卒一括採用は日本型雇用システムの大きな特徴と言えます。

世界の新卒採用事情について調べたところ、
(1) 通年採用が一般的で新卒独自の採用システムはほとんど存在しない
(2) 新卒も即戦力として採用されることが多い
(3) 一部の有名大学を除き、長期インターンからの採用が一般的である

といった特徴がありました。少し古いですが、連合のレポートによると(図A参照)、在学中に卒業後の最初の仕事が決まっていた大学生の割合は、日本が81.4%と突出しています。G7諸国と比較すると、2位のドイツが58.5%、アメリカは46.3%で、半数以上が卒業後に初職を決めることがわかります。

【図A】

Global Career Survey 2024の調査結果も興味深いです。図表8をご覧ください。日本では在学中の就職活動が一般的ですが、就職時期を卒業前~卒業後6か月まで広げてみると、日本は88.5%で、スウェーデンも87.8%とほぼ同水準です。最も割合が低いアメリカでも76.4%です。他国でも卒業後早期に就職する人が多いことがわかりますが、日本は特に卒業直後の就職が一般的であることが際立っています。

次に、人事異動について見ていきましょう。図表10と12をご覧ください。職種変更や転居を伴う異動について、1. 会社側の命令、2. 会社からの打診に同意、3. 自身で希望を出した場合の3つの軸で調査した結果です。

日本では「業務命令」による職種変更が9.1%と他国に比べて高く、「業務命令」による転居を伴う異動も6.9%で最も高いです。このことから、企業主導型の人事異動が日本型雇用システムの一環であることがわかります。

また、このグラフから読み取れることがもう1つあります。それは、「日本はグラフの幅が短い」ということです。「業務命令」によるものが相対的に高いだけで、その他の異動も含めると、日本が最も異動を経験していない。つまり、同じ仕事内容、エリアで働いている人が他国と比べると大幅に多いということです。他国では本人主体で仕事を選ぶ傾向が強いと言われていますが、調査結果からは、会社側からの打診に同意して異動する人も多いことがわかります。つまり、他国でも企業からの異動提案が頻繁にあり、結果的に多くの人が異動を経験しているのです。日本との違いは、異動に本人の同意が必要である点でしょう。

これらのことから、キャリアコンサルタントの視点で見ると、日本ではキャリアオーナーシップが低いと言えます。企業が一生面倒を見るという考え方が、個人のキャリア形成において足枷になっているのです。令和の時代でも企業主導の人事異動が多いのは、この名残ではないでしょうか。他国の調査結果が高いのは、個人が自身のキャリアについて積極的に考えているからです。

いかがでしたでしょうか?次回も日本と世界の雇用システムの違いを比較していきます。お楽しみに!

「日本型雇用のリアル」シリーズの最終回はコチラ

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