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【生成AI時代の採用② 実践編】生成AIに負けない「見極め力」をアップデート!学生の素顔を引き出す「独自質問」の作り方

前回の記事では、ロート製薬がエントリーシート(ES)を廃止し、対話重視の採用へ舵を切ったニュースをお伝えしました。

「生成AIが書いた『それらしい回答』では、本人の個性が見えない」という課題は、決して大企業だけのものではありません。むしろ、一人ひとりの役割が大きく、カルチャーマッチが死活問題となる中小企業こそ、今、「AIでは替えがきかない、本人の生の声」を引き出す力が求められています。

今回は【実践編】として、AIには答えられない「独自質問」を自社の選考に取り入れるためのヒントをお届けします。

これまでの採用で定番だった「あなたの強みは?」「学生時代に最も力を入れたことは?」といった質問は、今や生成AIにとって最も得意な領域です。

AIはネット上の膨大な「合格者の回答データ」を学習しているため、それらを組み合わせれば、一見完璧で、かつ貴社の理念にまでフィットさせた「優等生すぎる回答」を数十秒で生成できてしまいます。

しかし、中小企業が必要としているのは、「綺麗にまとめられた文章」ではなく、泥臭い現場で自ら考え、動き、壁を乗り越えてくれる「生身の人間」のはずです。AIが作った「正解」に惑わされず、その奥にいる候補者の真実を見抜くためには、企業側が投げかける「問い」そのものをアップデートしなければなりません。

(1) AIが答えにくい質問の「3つの条件」

AIに「以下の質問に答えて」と入力しても、薄っぺらな回答しか返ってこない質問には共通点があります。

「個人的な感情や違和感」を起点にしている: 一般論ではなく「あなたはどう感じたか?」を問うもの。
「失敗や葛藤のプロセス」を深掘りしている: 成功体験という「結果」ではなく、泥臭い「過程」を問うもの。
「仮定の状況」での決断を迫る: 唯一の正解がない状況で、何を優先するかを問うもの。

(2) 【そのまま使える】独自質問の具体例

貴社の社風に合わせてアレンジできる、3つのカテゴリーの質問例をご紹介します。

① 価値観・感性を探る質問
「あなたが最近、日常生活の中で『もっとこうなればいいのに』と『違和感』を抱いたことは何ですか?」

●狙い: 周囲の環境を自分事として捉えているか、問題意識の感度を確認します。
●AIが苦手な理由: 具体的な日常生活の細かなシーンと、それに伴う個人的な感情をリンクさせる必要があるため、作り話では説得力が出ません。

② 思考の深さと誠実さを探る質問
「過去の経験で、『良かれと思ってやったのに、裏目に出てしまったこと』を教えてください。その時、どうリカバーしましたか?」

●狙い: 失敗を他人のせいにせず、自分の行動を客観視できるか、誠実さを確認します。
●AIが苦手な理由: AIは「成功への最適解」を作るのは得意ですが、生々しい失敗の痛みや、そこからの独自の学びを語ることは難しいからです。

③ カルチャーマッチ(覚悟)を探る質問
「もし、弊社の仕事を進める中で『会社の利益』と『お客様の幸せ』が対立してしまったら、あなたならどう考え、動きますか?」

●狙い: 自社の行動指針(クレド)に照らし合わせ、迷った時の判断基準が自社と合っているかを確認します。
●AIが苦手な理由: どちらも正論であるため、AIは「バランスが大事」という抽象的な回答になりがちです。そこをあえて「あなたならどっち?」と踏み込むことで本音が見えます。

(3) 質問した後の「深掘り」こそが本番

良い質問を用意しても、一問一答で終わってしまっては意味がありません。ロート製薬が「15分間の対話」を重視したように、回答に対して「なぜ?(Why)」「具体的にどうした?(How)」を3回繰り返してみてください。

「なぜ、その時そう思ったの?」
「他にはどんな選択肢があった?」
「今、同じ状況になったら違うことをする?」

ここまで深掘りすると、用意された回答(AIの回答)は必ずボロが出ます。逆に、自分の体験として語っている学生は、言葉に熱がこもり、表情が動きます。その「非言語の情報」こそが、中小企業の採用において最も信じられるデータです。

大手企業のように何万人も応募が来るわけではない中小企業にとって、一人ひとりとの出会いは貴重です。だからこそ、テンプレートの選考で「なんとなく良さそう」と判断するのはリスクが大きすぎます。

「AIには書けない、あなたの物語を聞かせてほしい」

そんな姿勢で独自の問いを投げかけることが、結果として「この会社は自分を本気で見てくれている」という学生の志望度アップにも繋がります。

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