事業内容 | 精密機械加工、積層モーターコア、放電プラズマ焼結(SPS)、風力発電ブレード落雷対策部品、自動車搭載用ベーン、試作開発支援 |
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設立 | 昭和31(1956)年1月 |
資本金 | 1,000万円 |
売上高 | 29億(2021年度) |
会社サイト | https://www.moriyacl.co.jp/ |
課題
島根県安来市に本社がある守谷刃物研究所様。高級特殊鋼ヤスキハガネの特性を最大限に生かし、自動車部品・医療器具・工業用カッターなど多岐にわたる分野の製品を製造しています。
現・社長の守谷光広様は、社長になって最初の仕事が人員整理だったそう。9.11事件のあとのことでした。その経験から、新卒採用をした方がいいのではないかと考え始めたようです。しかしそれまでは大卒学生が入ってくることはほぼなく、「うちみたいなところに大卒なんて・・・」と、なかなか踏み切れずにいました。
きっかけは、小山昇氏が社長を務める株式会社武蔵野の実践経営塾に参加した際、当時講演をしていたザメディアジョン創業者・山近義幸に出会ったこと。そのときの講演に共感し、「ぜひ守谷刃物の若手社員の前でも講演をしてほしい」と山近へ依頼されました。講演後「守谷刃物様はダイヤモンドカンパニー*だから、新卒採用をやった方がいいよ」という山近の言葉に背中を押され、新卒採用をすることを決断。ザメディアジョンとともに取り組むことになりました。
*ダイヤモンドカンパニーとは、人を中心に置いた経営で強い会社づくりをめざす、たとえ小さくてもキラリと光る中小企業のこと。
施策
学生の動向や採用の動きを踏まえ、採用の方針を提案したり、会社説明会のブース装飾のアドバイスや運営サポートなど、全般的なアシストを担当しました。
当初は「いい人」と言われる学生を採用していましたが、やめてしまう人もいたため、やめない採用をするためにはどうしたらいいかを検討しました。人間関係のよい環境で仕事ができることが重要だろうと考え、採用ターゲットを「いまいる社員に合う人」へ変更。さらに、学生からホワイトな企業と思ってもらうための社内制度の改革(休日日数の見直し、昇進制度の仕組みの導入など)を進めていきました。
成果
新卒採用を始めて15年以上がたちます。最初に入った二人が加工事業部の部長と副部長となり、リードする存在に育ちました。その活躍も大きな成果ですが、それ以上に新卒が入ってくることでスタッフの幅が充実してきたことが一番の成果だそう。技術部門だけでなく管理部門も確立させることができ、お客様の移り変わるニーズに合わせた製品への対応が可能になりました。また、ホワイト企業になるための社内制度改革を行ったことで社風もよくなり、過去10年、新卒社員でやめた人はひとりもいないそうです。
株式会社守谷刃物研究所
代表取締役 守谷光広氏
プロフィール=島根県安来市出身
守谷刃物研究所様は一言でいうと「ものづくりの会社」。高級特殊鋼を筆頭に高付加価値材料の加工から仕上げまでを手がけ、その製品の精度の高さには定評があります。
メインは自動車部品。ほか航空宇宙関連、医療機器、工業用カッターなど多岐にわたります。主力製品である「ベーン」という自動車部品は世界シェアNo.1を誇っています。
2006年ごろから新卒採用をスタート。採用活動する中で、ホワイト企業となるための社内改革も進めていきました。
いまでは人財の幅も広がり、技術部門だけでなく管理部門も安定し、お客様の変わりゆくニーズにも対応できるような会社へ成長しています。 今回お話を聞いた守谷社長は、いまでは仕事の4分の1を採用に費やしているそうです。
私が社長になって最初の仕事は人員整理だったんです。9.11事件のあとでしたね。それからしばらくして経済が落ち着き始めたころ、人員整理した経験も踏まえて、新卒採用をした方がいいのではないかと考え始めました。しかしそれまでは大卒学生が入ってくることなんてほぼなかったので、うちみたいなところに大卒が来るわけないと、なかなか踏み切れずにいました。
そのころに参加した経営者セミナーで、当時のザメディアジョン社長の山近さんに出会ったことが新卒採用を始める大きなきっかけとなりましたね。そのときの講演に共感して、「うちの若手社員の前でも講演をしてほしい」と山近さんへ依頼したんです。講演後に「ダイヤモンドカンパニーだから、新卒採用をやった方がいいよ」と言っていただき、その言葉に背中を押され、新卒採用をすることを決め、ザメディアジョンさんへお願いしました。
そうですね、当時は就職困難期だったので、わりといい人財が集まってくれたと思います。新卒1期生の大卒二人がいま加工事業部の部長と副部長になり、引っ張ってくれていますよ!
いえ、二人とも実は文系出身なんですよ。守谷刃物の仕事は、大学の教科書にはあまり載っていないようなことが業務になるので、文系も理系もそれほど関係ないんですよね。これまでの先輩たちが開発してきた技術を継承していくので、そこまで難しい業務内容ではないです。理系のイメージがあるかもしれませんが、文系でも活躍の場はありますよ。
ですので、採用のときは学生さんの学んできたことよりも、人を見ています。山近さんにお会いしたことで、社員には「財宝」になってほしいと思っていますから。
学生さんの気質とか、なにを考えているかなどのリサーチがしっかりしているので助かっています。学生さんの動向や採用の動きについて、アドバイスや提案をしていただきながら、参考にして採用の方針・施策を考えていきました。
実は最初は「いい」人財を求めていたんです。しかし、いい人財はやめていく可能性が高いことに気づきました。そういう人は年数が進むと、上に仕えていることに不満を感じる人も多い。当社に昇進していく仕組みがなかったのも原因でした。 やめないような採用をしたいと思っていたので、学生さんからホワイトな企業として認めてもらえるような会社にしていくための全般的なアドバイスを得ながら、社内改革を進めることができたのでよかったです。
ステップアップが給料に結びつくような階級制度や昇進制度の仕組みを取り入れました。また、休日を一部上場企業並みに増やしたり、賞与に関してはダイナミックに業績に応じて変動させたりしています。相対評価から絶対評価に変え、周りと比べて自分が高いか低いかではなく、過去の自分と比べて高いか低いかがわかるような仕組みにしています。
そしていま、採用のとき選んでいるのは「いまいる社員と合う人」です。やめた社員のきっかけは給与面や処遇面の不満かもしれませんが、実際のところは人間関係が一番の原因だと私は思っています。人間関係がよかったらあまりやめないと考えていますから。 その結果、10年間新卒社員でやめた社員はひとりもいません。最近は人事部をつくり、採用専門の担当者を置きました。その人に「なんでやめる人がいなくなった?」と聞いてみたら「やめる理由がないから」という評判らしいです。
新卒1期生二人の活躍ももちろんですが、一番はスタッフの幅がだんだん充実してきたことですね。
いくら優秀な技能者だけ集まっても会社は成長していきません。細かなところできちんと会社の統制が取れるという意味では、品質管理と財務管理がしっかりしていることが重要です。人事部をつくったのも、そのための一つの施策。製造の管理も含めて、管理部門全般がしっかり機能していかないといけないと考えています。
そのためにはやはり大卒のほうが、自分で課題をみつけること、その課題にどういう姿勢で向き合ってどう取り組んでいくかを考える力があると思っています。 新卒採用によって社員が増えたことで、そういった組織変更が対応可能になりました。
人財の幅も広がり管理部門の体制が整えられたことで、移り変わるお客様のニーズに合わせた製品への対応が可能になりました。今後お客様が新しいチャレンジをされるような状況でも、それにしっかり応えられるような会社をめざして、社員ひとりひとりの質を高めることをテーマに取り組んでいきます。
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